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「レガリアが消えれば、ルーンも消える――そう言ってましたね」
「聞いていたのか。なら話が早い。そういう設定なんだよ。あの人がいなくなった今、いつ死んでも――」
「あーそれ。繋がり解いたおいたから問題ない。君が死ぬことは無いから安心してよ。晴れて自由だね。やったぜー」

 ユラギはさらっと、とんでもないことを言い放つ。何とかすると言っていたが、まさか本当にやるとは思っていなかった。せいぜい、引き延ばし位だと思っていた。言われたルーンもかなり驚いている様子で呆然としていた。

「レガリアに造られたっていうけど、負担割合は僕の方が上だからねぇ。僕の裁量でどうとでもなる」
「それじゃあ――!」
「少なくとも、レガリアが死んだからって消えることは無いよ。良かったねー」

 ユラギは笑顔でパチパチと拍手する。何を考えているのかは分からないが、ひとまずルーンが死ななくてレイラは安堵した。やはり、何があったとしてもルーンには生きて欲しいと思っていた。これがレイラの願いかと聞かれたら分からないが、少なくとも死んでは欲しくなかった。
 ルーンはどこか微妙な反応だった。いきなりレガリアとの繋がりを絶たれ、戸惑っているようにも見える。

「……余計なことしてくれるね」
「そのままくたばっても良かったって本気で思っているのなら、今すぐ死ねばいいさ。生きるも死ぬも自由なんだから」
「良い性格してるよな……ただ、面白がってるだけだろうに」

 嫌なら死ねばいい――単純なことだった。本気で嫌と思っているのなら、ユラギの言う通り死ねばすぐに終われる。

「僕はこれでも責任をもってこの世界を見てきたからね。まぁ半分は遊んでたけど。あっはっはー! それでもねぇ、君の生には意味があると思ってるよ!」
「とんだお節介だな」
「けど……少し嬉しそうな顔してます」
「……そうかな」

 ルーンは少し照れくさそうに笑っている。あまり見たことのない新鮮な表情だった。

「いきなり言われても、受け入れられないっていうか……困惑というか。プレゼントはとりあえず、受け取っておくよ」
「それがいいさ。君にしか出来ない役割もあるだろうしね。なんせ、この僕の――グラスの力を直に受け継いでるんだし」
「中途半端な僕に何が出来るっていうのさ」
「そりゃ自分で考えろ。そこまでサービスはしないからなー」

 自分の足で立って歩けと言っているようだった。命令する者はもういないのだ。

「ま、そういうわけで! 一応まだ時間はあるけどちゃんと考えて答えを出してね。意思が決まったら呼んでねーんじゃ、また!」

 ユラギは必要なことだけを伝え、また消えていった。レイラ達は再び、分岐点に立たされるのだった。