Va où tu peux, meurs où tu dois.

 どこで間違えたのだろう――現状からの脱出を望んでいたとはいえ、こんなことになって欲しいとは思っていなかった。気づいたら、燃え盛る炎の前で立ち尽くしていた。仲間達は黒い人形になってしまい、自らの居場所も消えてしまった。
 自分は何故、生きているのだろう。真っ赤にゆらめく炎は何も語らず、全てを無に還すように燃え続けていた。忌まわしい記憶は灰になっていく。
 それでも、自分にとっては大事な場所だった。消えていいはずがない。
 でも、出来ることは何もない。為す術もなく、呆然と炎を眺め続けていると、その向こうにゆらゆらと動く、人影らしきものを見つけた。
 はっきり見えるのではなく、ぼんやりと当て所なく彷徨い続ける亡霊のようだった。
 普通の人間がこんな炎の中にいたら、ひとたまりもないだろう。きっと人じゃない。そうだ。
 亡霊なのか――その影はこちらに向かっているような気がした。
 ゆっくりと、確実に距離を詰めてきている。
 足音が大きくなるにつれて、体の震えが止まらなくなる。
 そこからの記憶は曖昧だった。
 気づけば、その場から走り出していた。必死に、追いつかれないように遠く、世界の果てまで。

 どこを走っているのだろう。
 どこへ向かっているのだろう。

 私は、どこまで行けばいいの――?