悲願

「……ようやくこの時が来た」
 
 とある国の姫が災厄と共に封印されてから数年経過した頃――夜の静けさが支配する神殿は何も語らない。ところどころ朽ちて欠けている部分は歴史を感じさせる。

「君がどんな道を選んでも、誰も責めることは出来ない。世界はそうあるべきだ」

 災厄の罠に堕ちた姫は、どのような道を辿るだろうか。この世界を救う救世主になるか、それとも――

「君ならきっと、やってくれると信じているよ。この檻から……どうか、解き放ってくれ」

 全てはこの時のため。後は時計の針を進めるだけ。この世界は緩やかに狂っていくだろう。
 魔法使いは帽子を目深にかぶり、神殿から離れていく。

 これは終末へのプレリュード――動き出した歯車は、もう誰にも止められない。