レイラは当て所なくふらふら歩いていた。悔しさで胸が締め付けられていた。昔と変わらない、何も出来ない無力な自分に嫌気が差していた。自分で決めたのはもちろんだが、まだ恩も返せていない。それに、いつの間にかこの旅を気に入っていた。レイラは今になって自分の気持ちに気づいた――皆の役に立ちたかった。並んで歩けるようになりたかったのだ。
それはかつてレインやフルールに対して抱いていた思いと同じだ。純粋に誰かの力になりたい――この気持ちは真実だった。
しかし、それだけでは駄目だった。グラスは何も反応しない。手に握られた頼りない剣は、さらさらと消えていく。
(私は、願いを叶える。それが、願い。私が役に立てるのなら……でも、駄目なの? 真実ではないというの?)
やることさえやってくれたら問題ない――しかし、それが出来ないと知られたら? 一気に不安が押し寄せてくる。
(失望されるに決まっている。見捨てられる。それは、嫌だ)
この時だけはルーンの魔法に安心した。この繋がりは自分を奮い立たせるものになる。
(どうすれば、変えられるの。教えてよ)
グラスに問いかけるも、答えは返ってこない。中にいるのは分かるが、気分屋なのか全く表に出てこない。出てきたかと思えば、不穏な言葉を残していく。体の中に爆弾を抱えたような気分である。
(あぁこんなことでは、捨てられる。消えたい。消えてしまいたい。今すぐにでも――私には……)
負の感情がレイラを支配していく。その足取りは、吸い寄せられるように一歩ずつ森へ近づいてく。耳の奥で叫び声や歓喜の声が、聞こえてくるような気がした。
(変なの……何か、頭がぼうっとして……)
レイラの頭の中は、何かに引っ張られるように考えることを拒んでいた。死の匂いに惹かれ、行き場を無くしたレイラは死の森に足を踏み入れていく。
???
「いっぱいだねぇ。大物もいるねぇ……大量だねぇ。ふふふふ、ふふふふっ」
薄暗い森の中――無邪気に跳ねる。不気味な笑い声が森の中を駆けていく。影で創られた人形は黙したまま動かない。
赤く濡れた大地も、無惨に散らばる屍も、誰一人狂気を止められる者はいなかった。
「来る者は拒まず……みーんな歓迎するよ。ふふふふ、ふふ、ふふふ……」