何も知らなければ幸せだった。あの日からずっとそう思っていた。
――知ってしまったら戻れない。その先が大事なのさ。
無知は罪。有知は罰。
――残酷だね。差があるのは仕方ない。
歴史は繰り返す。何度でも。
――繰り返そうが、失ったモノは戻らない。
それでも、私は抗う。私は全てを手に入れ、全てを作り変える。
――神様気取りかい。
いつだって、私が神。全て私の意思。私以外は等しく屑。
――なるほど。でも、時間は止まらない。君の持つ魔法は完全ではない。それでも君はやるのかい?
最初から決まっていることに、口を出すつもりか。
――ただの意思確認だよ。好きにするといい。世界はいつだって君の手の中にあるんだから。
堕ちた魔女も
菫の姫も
心無い魔法使いも
すべては神の駒
「私は美しく、新しい最高の世界が見たいの!! 分かるでしょう!? あは、あはははははははは!!」
声高に笑うそれは悪魔か人か。劈くような声と共に、世界は緩やかに音を立てて、堕ちていく――