可愛いって得。不細工より可愛い方がいいに決まってる。人は見た目が十割。顔がよければ、何をやっても心の広い男は大抵許してくれる。
許さない奴もいるけれど、心の狭い男に興味はない。
私は私を称賛してくれる男が好き。私を否定する奴は死ねばいい。女も男も子どもも老人も関係ない。私を認めない人間は死ねばいい。
私は私が大好き。
お前たちが嫌っても私は私を愛してる。私は間違ってない。愛されたいと思うのは普通でしょ。男に愛されたいのは普通の感情よね。運命を求めるのは本能。
求めれば、与えるし、逃げたら、地の果てまで追いかける。こんなに尽くす人間は世界中探したっていないはず、なのにどうして、私を認めてくれないの。胸が痛い。目は焼けるように熱い。体中から沸き上がる熱。真っ赤に燃えている、激しい愛の炎。私に優しくない、理不尽な世界が燃えている。
いい気味。
このまま終わってしまえ――
「……勘違いも甚だしい。誰の言葉も受け入れられず、都合のいいように捻じ曲げる。とことん腐った性根」
死ぬ間際に見えたのは、知らない誰か。淡い水色の髪をなびかせ、女は品定めをするように見下ろす。
「身勝手な人間は死ぬほど嫌いだが、利用価値はある。欲深い魂は増長し、全てを喰いつくす」
馬鹿にされているのは分かった。何なのよ。どいつもこいつも、説教とか求めてねーし。
「お前にチャンスを与えてやる。もう一度、愛されたいか?」
「あ、い……」
愛――私がずっと求めているもの。永遠に満たされることのないもの。
もう一度、愛されてもいいの? 愛されるの? やり直せるの?
「全てはお前次第だ。私と契約を結べば、お前は死んでも愛される。もちろん愛する事も出来る」
神だろうが、悪魔だろうが、何だっていい。
もう一度、愛されたい。私を見て欲しい。何でもいい。
「もっと欲しい、全て欲しい……そのためなら、何だってする……どこまでも、どこまでも深く、堕ちていきたい」
「契約成立だ。お前は自由だ。全てはお前次第」
淡い水色の髪の少女はどこまでも冷淡に告げる。彼女がもたらしたものは理想かはたまた――
どうでもいい。
そこに愛があるのなら、化け物だっていい。
あぁでも、私はもう、人ではないのだから、人間のことを考えたって無駄よね――
「昔のことを思い出すとか、走馬灯ってゆーの? ウケる。でも、悪くないわ。とっても最高だもの。気持ちよくて、逝っちゃう。もう、これ私の勝ち確定」
「よかったね。こっちは最悪な気分だ」
「どこまでも一緒ね。私たち」
「一人で逝けば?」
「それじゃ寂しいもん。ねぇ、繋がっているから分かるでしょ……私の気持ち」
「分かるよ。君が頭の弱い女だってことがね」
「意地悪なこと言わないでよ。そんなの分かってる。ただ、愛を囁いて欲しいだけ」
「……愛してるよ」
「もっと、もっと――足りないの」
「――愛してる」
私が真実だと思えば真実。虚構など存在しない。貴方の心が、体が、全てが欲しい――貴方がどう思っていようが関係ない。私が良ければそれでいいの。
「もっと、貴方の全てちょうだい。そうすれば、私は――」